腰痛には急性のものと慢性のものがあります。今回はすくなくとも3か月以上持続する慢性腰痛について原因、診断、治療、治療のめざすところについて書いてみようと思います。
慢性腰痛の原因はたくさんあります。
- 1.筋肉の問題: 筋肉の過緊張や筋肉量低下による血流低下
- 2.背骨、椎間板の問題: 加齢による背骨や椎間板の変形 骨粗鬆症や怪我による背骨の骨折
- 3.その他:姿勢が悪い 同じ姿勢を長時間している、肥満、日常的に体に過度の負荷がかかっている(例 重いものを運ぶ仕事)、心理的ストレスなど
上にあげたものが複数関与していることもあります。
症状:腰全体がいつもだるい、重たい痛みと表現されることが多いです。慢性の腰痛に突然急性腰痛が混じることもあります。その場合、ずっと腰痛はあったがある日突然体を動かすことができないほど強い痛みがきたと表現されます。
診断: 診断は主に症状、病歴によりますが画像診断を加えることもあります。
治療:薬物療法、装具装着、運動療法、生活指導を組み合わせます。薬物療法のみで軽快することはあまりありません。安静は必ずしも有効でなく個人個人にあった活動性を保つと経過がよいことが知られています。治療の中で生活指導は重要な部分ですが患者さんに努力してもらわなければならず痛みでつらい思いをしている患者さんにはつらいところです。 慢性の腰痛症の場合、痛みを悪化させている生活習慣を見直すことがとても重要になります。正しい姿勢を保つ、適度な運動、体重管理、長時間の同じ姿勢を避けるなどです。
治療の目指すところ:目指すのは慢性の痛みによって生活のレベルが著しく落ちるのを防ぐ、できれば生活レベルを向上させることです。一般に加齢とともに体の痛いところは増えますが痛みと自分の体をよく知り1日中痛みの事ばかり考えるような生活から解放されることが目標となります。