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ドクターズインタビュー

ふかみレディースクリニック 副院長  深見 栄(麻酔科標榜医)

偶然の重なりで至った麻酔科医という職業

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なぜ医師になろうと思ったのですか?Interview 01

なぜ医師になろうと思ったのですか?Interview 01

私は高校・大学とカナダの学校に通い大学では生化学を専攻していました。父に小さいころから「女性には医師か教師がいい職業だよ」と言われてはいたのですが、学生のころは医師という職業について深く考えていたわけではありませんでした。

大学を卒業したら「生化学の研究職を目指そう」と漠然と思っていたのですが、医師を目指している友人との会話をきっかけに、医師という仕事がとても魅力的に思えてきました。
研究職より、苦しんでいる患者様の力になれた方が生きがいになると強く思い、それから医師を目指して勉強をはじめました。

麻酔科を選んだのはどうしてですか?Interview 02

麻酔科を選んだのはどうしてですか?Interview 02

麻酔科は手術時に全身管理を行って患者様の生命を守るのが仕事です。呼吸や循環、手術中、手術後の痛みの管理をリアルタイムで行います。
手術中や手術後の患者様の全身状態や痛みがうまく管理できているかは即時にわかります。
麻酔科の仕事は患者様の体を手術という大きな侵襲から守り苦痛をとるという仕事で結果がはっきりとしています。そういったところが性に合っていると思ったからです。

レディースクリニック内にあるメリットはなんでしょうか? Interview 03

レディースクリニック内にある
メリットはなんでしょうか? Interview 03

婦人科では対応できない痛みの症状に対してスムーズに対応できることでしょうか。痛みで悩む患者様、とくに頭痛でお悩みの方は女性に多く、頭痛の原因を更年期障害や女性ホルモンの乱れだと思って婦人科を受診される方も少なくありません。頭痛の対応はレディースクリニックではできませんので、そんなときにすぐペインクリニックを受診することができます。

バランスの
難しい痛み治療
患者様との
コミュニケーションを重視

具体的な痛み治療について 教えてください Interview 04

具体的な痛み治療について
教えてください Interview 04

たとえば「痛み止めの薬がきかず痛みで夜眠れない」といった急性の痛みには、神経ブロック治療を薬物療法とともに併用することがあります。神経ブロックは痛みを起こす神経を特定し局所麻酔薬や炎症を抑える薬をその神経周囲にばらまき痛みの信号を出し続ける神経を一時的に休め炎症を抑えることで痛みを緩和させる治療法です。

慢性痛に対しては神経ブロックでは効果が期待できないことが多くあります。それは慢性痛が痛い部位だけの問題ではなく大脳にも要因があり、生活習慣、ストレス、社会的要因、考え方、記憶などが複雑に影響していることがしばしばあるからです。「痛みの緩和=神経ブロック」が全ての痛みに当てはまるわけではないのです。

痛みの種類や状況によって治療法は大きく変わってきます。痛みは個人的な経験で他人に完全にわかってもらうことが難しい症状です。痛みに困った際はご自身だけで判断せず医師とよく話し合うことが大切です。

診察の際、どのようなことに 気を付けていますか? Interview 05

診察の際、どのようなことに
気を付けていますか? Interview 05

痛みの治療は数回の受診で消失するものもありますが、急性の痛みでも3か月程度の継続した治療が必要な場合もあります。原因の究明は必要で患者様がどうして痛いのかを理解し適宜対応し続けていく必要があります。治療の途中で病気が見つかることもあります。症状の変化に気を付け必要な検査をすることが大切になります。

いつから・どのように・どれくらいなど、患者様からさまざまな情報を聞き取りながら治療方針を決めていきますので、診察の際は患者様の症状やお話をできるだけ詳しく聞くようにしています。
痛みの原因、病気や体の状態を患者様に理解してもらうことも痛みの治療には大変大切です。そのため説明もなるべく詳しく分かりやすいように心がけています。ただその分、患者様おひとり当たりの診察時間が長くなってしまいがちなのですが……(笑)。

痛み治療の難しいところは なんですか? Interview 06

痛み治療の難しいところは
なんですか? Interview 06

たとえば、慢性的な痛みは患者様の生活習慣、体力に合わないあるいはその方にむかない運動、過度な心配、不安に原因があることがあります。慢性の頸部痛や腰痛があるのに長時間同じ姿勢でいることが多いとか、身体に負担のかかる歩き方をしているとか。何度も痛みの悪化を繰り返す原因はさまざまですが、患者様ご自身の日常の生活や考え方に原因があることを認識していないこともよくあります。

ですので、患者様からどうやって情報をいただくか、いただいた情報を治療に活かすためどのように患者様が納得できる説明をするかが難しいですね。患者様との何気ない会話のなかから治療のヒントになる情報を抽出しますが、時には患者様に日々の活動を日記にまとめてもらったりしています。

日々の振り返りのなかで痛みの原因に気づいてもらえると、治療もスムーズに進みます。

痛みの治療で患者側が気を付けるべき ことはありますか? Interview 07

痛みの治療で患者側が気を付けるべき
ことはありますか? Interview 07

痛みの治療では「患者が治療に積極的に参加する」ことが大切です。急性の痛みは消失することが多いですが薬の処方や神経ブロックをしても安静が保たれなければ効果は不十分になります。慢性の痛みの場合はさらに患者様の痛みに対する理解や努力が不可欠となります。薬を内服していれば痛みは完全に消失する、注射をすれば変形した関節や背骨はもとの形にもどり痛みは消失すると考えていると治癒に至ることは難しくなります。

痛みはどんなに親しい人でもわかちあうことはできない大変個人的な経験です。痛みを説明することは大変難しいですができるだけくわしくどのような痛みかを説明していただくと治療の助けになります。そしてお互いに信頼関係を築くのが治療上大変重要になります。

たとえば、ただ単に「腰が痛い」というだけの情報では具体的な解決法を導き出すのは困難です。しかし「長時間テレビを観ていると痛くなる」という情報が増えるだけで、一気に出口が見えてきます。

いたずらに痛みに
苦しめられないために
痛みへの理解を深める

クリニックの今後の展望があれば お聞かせください。 Interview 08

クリニックの今後の展望があれば
お聞かせください。 Interview 08

院内で患者様の運動教室ができたらいいなと思っています。理学療法士など運動器の専門の方と連携して、困っている患者様に正しい体の動かし方や筋肉の使い方を教えて差し上げたいです。

痛みに対する知識不足・不安感が症状を悪化させることはよくあります。痛みに関するミニ教室を設けたいとも思っています。

患者様へのメッセージをお願いします。 Interview 09

患者様へのメッセージをお願いします。 Interview 09

痛みの治療では、患者様が医者共に治療に関わる心をもつことが大切です。医者に丸投げであったり薬の内服を気ままにすると症状は悪化したり長引いたり副作用が出やすくなったりします。

治療が数か月以上続く時にはとくにお互いのコミュニケーションと信頼関係が必要となります。疑問があったり長期処方中に体調不良やトラブルがあった場合は電話でもかまいませんので医師に相談し勝手に薬を増量したりいきなり中断したりしないようにしましょう。

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